暗道-Second- 36



「またあとで電話するから」

冷ややかで笑みすら感じさせるジェジュンの妖しい声。

ユチョンは、ジェジュンの自信たっぷりの声に気圧されつつも、
一体どういう手段を取るのか気になって、携帯電話を握りしめた。
なんで、俺に出張のことを言ってくれなかったんだ..

ユチョンはため息をつきながら、ドンッと壁に腕を突いた。
遠すぎるから、俺には飛んでいくこともできなければ、
俺がお前を助けるからと口では言ってても無力なことに口ビルを噛む。

俺があいつをここへ何とか連れてきてさえいれば.....

PI PI PI

「ジェジュン...ど、どうかしたの?お義姉さんに何かあったの?」

「....何でもないよ。」

ジェジュンは不敵に笑っていた

彼女はそんな彼の楽しげな表情を見るのは初めてだった。
しかし、彼は楽しいわけではない。その表情は怒りが突破しすぎたが故の笑みで
心の中は沸点すらも軽く超えているのだろう。

「ああもしもし。失礼ですが本日の宿泊者で、........という者がチェックインをしていると....
個人情報で教えていただけない?ああ、そうですか。私は家族の者なので、宿泊してることは
  存じてるんですが....じつは一つだけお尋ねしたくて。」

ジェジュンはすらすらと電話口に言葉巧みに話し始めた

「もしかして、姉は一人ではなくて....という名前の男性と一緒に宿泊していないかと心配で...
え?ああ、心配と申し上げたのは.....以前から姉が何者かから、付きまといを受けていて
  大変怖がっていたのですが、ようやく物証でそれが......という会社の上司だと判明しまして...」

彼女はぎょっとジェジュンを見つめた
そんな大事がお義姉さんに起こってるなんて、一言も聞いたことないけど...!?

ジェジュンはそっと彼女の唇に指で触れた
シーっとサインを送って、微笑んでウィンクを送る

「ええ。そちらが個人情報で姉が宿泊してるか、答えられないのは結構です。
 ただ、もし宿泊をしているならば、決して姉をその男と隣の部屋になさらないでください。
 犯罪が起こってからでは遅いし、そちらとしても事件になり大事になると思いますので...」

フロントの女性は、宿泊者の情報を見ながら真っ青になっていた。
隣の部屋どころか、予約の取り間違え、しかもこの吹雪で満室、....二人は同じ部屋なのだ。
ど、どうしよう.....これで何も起きないわけない。というか、もうすでに何かが....!?

フロントの女性は慌てて奥に引っ込むと、上司に駆け寄った。

「お、お客様が大変なことに.....!!!!」

ジェジュンは電話を切ると、姉の携帯電話にかけた

「あ、ジェジュン....どうしたの?」

「姉貴。なんか声暗いな」

「え?あ...いや、そんなことないよ....どうかしたの?ユチョンさんに何か?」

この様子じゃ、ヒョンへの宣戦布告電話の一件も何も知らないみたいだな。

「姉さん、風呂上がりとかなら、洋服着ときな」

「え?もう寝ようとして...」

「ホテルの人そこ来るから」

「???」

そう言った瞬間、ドンドンドン!とドアをノックする音がした

「お客様!ご無事ですか!お客様!」

「え?あ?、何かしら??ジェジュンどういう事??」

「部屋が用意できたんじゃない?」

ジェジュンは笑った

彼女は事情が飲み込めずドアを開けると、
大慌ての形相のホテルの受付の女性と、マネージャーらしき男性が立っているのを見た

「どうか...なさったんですか?」

「ど、ど、同室の.....方は.....い、いらっしゃいますか.....」

「ああ、その方なら一杯飲みに行かれると出て行って....」

そう言うと、ハアーッと二人は胸をなでおろした。

「本日は満室でご予約一室のみでしたが、特別に一室あけましたので、
  そちらへ今すぐご移動いただけませんか?」

「え?でも同室の者に報告をしないと....」

「こちらから!こちらから連絡をいたしておきますので、どうぞこちらへ!」

慌てた様子で、彼女は促される

「あの、荷物がまだ部屋にありますので...」

「私がお届けいたしますので、先にお部屋へ!」

そう言われ、彼女はわけもわからぬままマネージャーの男性に案内をされ、
数フロア上へと上がっていった。

「こちら若干狭く、スタッフ使用のお部屋でございますが、
 綺麗に清掃は致しておりますので、ごゆっくりお寛ぎくださいませ!
 あ、そして電気系統に支障が出るため、必ず携帯電話の電源を切ってお眠りいただけますか?」

「で、でも皆さんが仮眠できないですがよろしいんで....行っちゃった...」

PRRR

「もしもし、ジェジュン?一体どういう事??
  ホテルの方、ご自分の仮眠室だっていう部屋に私を通してくれたんだけど。」

「うん?ヒ・ミ・ツ❤︎あっは!」

「ヒミツって...一体なんで私の状況が分かっ....あっ、携帯切らなきゃいけないんだった」

「じゃ〜早く切って寝なよ。おやすみ❤︎」

ケタケタとジェジュンは笑った。

......................................................................

「ふーう、さて、そろそろ部屋に戻るかな」

彼はBARを出ると、フロントを通り過ぎエレベーターへ向かった。
何やら視線を感じ、振り返るとフロントの女性と目があった。
彼はにこりと微笑むと、彼女はぎこちない笑顔で頭をさげる、さっきとは何だか違うな?
彼は不思議に思いながらも、ボタンを押す

「お待ちください......様」

何と呼びかけて良いか分からなかった彼女に代わり、マネージャーが男に話しかける

「ええ、なんでしょう」

「チェックインの時は満室と申し上げましたが、運良くキャンセルが出まして
 お部屋がご用意できましたので、同行の方に移っていただきました」

「え?ああ、そうなの。何号室でしょうか」

「そ、それがもう自分は休むから連絡をしないでくれと仰られて。
  明日こちらのロビーでお待ち合わせを、ということで言付かっております」

スラスラと流れるようなその言葉に、彼はBARで油を売っていたことを後悔した。
そんな事をしていなければ、こんな事態にはならなかったのに...

「しかし、僕は彼女の上司だし部屋番号くらいは知っておかなきゃ....」

「個人情報でございますので」

頑として譲らぬ口調だった。
こんな片田舎の小さなホテルだというのに...個人情報は徹底してるんだな。
彼はため息をつくと、わかった、と言い残し部屋へ戻った

『お客様のおかけになった電話番号は、電源が....』

「本当に切れてる」

乱暴に電話のボタンを押すと、ベッドに投げた。
一人にした間に、一体何故そんなに彼女は態度を急変したんだ?
そんなにも俺と同室が嫌だったのか?さっきは、覚悟を決めたようだったのに。

「くそっ...」

待ちに待って罠へおびき寄せたはずが、まさか突破口を作って逃げられるとはな。
彼はスーツのポケットからタバコを取り出すと、カチカチと火をつけた。

.......まあいいさ、逃げれば逃げるだけ捕まえ甲斐がある。
俺の者にならないなら、ならないだけ落とし甲斐があるってもんさ。
彼はタバコの煙をふっと吐き出すと、微笑んだ

俺を本気にさせるなんて、たいしたもんだ。
.......落としてやるよ、絶対に。

「あ、ヒョン?」

「どうだった?ジェジュン!お前一体何をどうやって.....」

「あっは❤︎そんなの簡単じゃん、どこでもドアだよー」

「どこでもドアって....お前なあ、ドラえもんじゃないんだから」

ユチョンは、能天気なジェジュンの言葉にガクッとずり落ちた。

「大丈夫。姉さんは一人で寝てるよ。チーム長様も部屋番号は知らないから安心しな」

ユチョンは、ジェジュンの堂々とした声にほっと胸をなでおろした

「.......すまない。」

「今回はいいけどさ...」

ジェジュンは声色を変えた

「姉貴のそばにいてやれよ、ちゃんと。守るんだろ?」

それは、ヒョンと懐く以前の頃の、生意気なジェジュンの口調だった

「ああ、そうだな」

もう俺が限界だ、不甲斐なくて...情けなくて
ユチョンは、電話を握りしめながら、そっと窓の外の夜空を見上げた。

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by beckanbecka | 2016-03-31 21:40 | 妄想小説


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