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今宵、成均館にて-109-

ヨリムの部屋へ入ると、今まで2人きりでこの部屋にいた事はないし、
ユニはきょろきょろと落ち着きなさそうにしていた。
ヨリムは、そんなユニを見て面白そうに笑みを浮かべていた。

「緊張するか?男の独り部屋に夜訪れるのは」

「何をいってるんですか、僕だって男ですよ」

慌ててユニは言い返した。

「おぉ?そうか?
 俺はまるで女人を迎え入れたときの様に、胸が高鳴るんだが...気のせいか?」

ヨリムの一言に、ユニはギクッとした。

「そ、そんな、僕はテムルですよ...自分で名付けたくせに忘れたんですか!」

焦るユニに、ヨリムはクスクスと嗤った。

「ははは、いつものお前に戻ったな」

ユニは、ヨリムが笑わせよう、
辛い事を忘れさせよう、としてくれていた事に気づいた。
そうだったんだ.........

「ヨリム先輩...」

ヨリムはドサッと近くに座ると、本を手に取り読みながら話した

「カランと喧嘩でもしたんだな?
 お前がそんな顔を見せるのは、それしか思い浮かばない」

「..............」

図星だ。
ユニの何も言えない表情に、またヨリムは笑った。

「賭けをしていたと聞いたが?
 テムルが負けたら、成均館を辞めると。」

ユニは驚いた、どうしてそれを知っているのだろうか?
カラン兄上がそんなことを他人に言う訳もないし、
ヨリム先輩は本当に侮れない...と身を固くした。

「まあ、そう緊張するな。俺しか知らないさ」

くるくると扇子を回しながら、ヨリムは笑いながらいった。
先輩の笑顔の裏には、一体何が隠されているのか
掴めない所がユニを困惑させる

「負けたから、去るのか?」

「..........はい、そうしないと.....」

「なら、お前にと思っている話があるんだが、
 実は政府が清国に、我が国の学生や学生でなくても一部、
 民の中から優れた能力を持つ物を、留学生として派遣しようという話がある。」

「えっ..........」

ユニは、その言葉にヨリムを見た

「これは王が我が国の発展のために、
 もっと諸国で見聞を広めさせようという考えらしい。
 .......テムル、お前、もしここを辞めるなら行ってみないか?王に掛け合えば間違いないだろう」

学ぶ機会が、しかも更に外界を見る機会があるなんて。

「ほ、本当ですか」

「ああ。俺が自信を持ってお前を推薦してやる。
 だから、色々と準備もあるから俺の家にしばらくいるといい。
 俺も、しばらくの間家からここへ通おうと思う」

もしこれで見聞を広められたら、
何かを得るきっかけになるかもしれない....
ユニは思ったが、ユンシクと母の事を思い出した

待って、これにユンシクが入れ替わって清国へ行けたら.....
誰も私たちの顔を知る人間はいない訳だし....

「向こうにはお前を知る人間はいないわけだし、
 苦しい事もあるかもしれないが、新たな出会いも大きくあるだろう」

ドキ、ドキとユニの胸は希望に震えた

「ヨリム先輩、ありがとうございます....」

「行くか?テムル」

「は..........」

返事を仕掛けた時、バンと扉が開いた

「キム・ユンシクダメだ」

ソンジュンがそこには立っていた。

「カラン」

ヨリムはふっと笑いながら彼を見た。
それも聞こえないのか、ソンジュンはずかずかと部屋に入ると
ユニの手をぎゅっと握って出ようとした

「あ、兄上、何!?いきなり入って来て....離して。」

「ダメだ、キム・ユンシク
 1人も知り合いがいないのに、1人で清国へ?ひ弱な君が?
 そんなに遠くては、俺は何も出来ないし助けてもやれないんだぞ!?」

「は、離して!成均館を辞めた後、僕の行き方を指図しないでください!」
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「ダメだ、指図するさ。君をここに入れたのは俺だ。
 それなら、辞めさせた君の行き方にも口出しする権利がある。 
 中途半端だと言うなら、その状態で清国に行っても苦労するだけだ。
 ..........それなら、ちゃんとここを卒業して、外界を学ぶだけの技量を身につけて行け。」

「でも、辞めなきゃいけないなら...」
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「....辞めなくても良いと言う事だろ、テムル」

「えっ」

「卒業するまでここに居ろってことだよなぁ?カラン」

ソンジュンは何も言わずユニを見つめていた。
私、ここにいても良いの........?

「親民、その答えを出した君がどんな人間になるのか、俺は知る権利がある。
 キム・ユンシク、俺の言葉は撤回するから、ここにいろ」

「兄上.......」

「俺の傍にいろ」

ヨリムは、自分の事を忘れてでもいる様な2人に
ふふっと笑って、また本を読み出した。

「解決したんなら、部屋に戻れ。
 俺は本の中で待ってる女を抱きに行かなきゃいかんからな」

彼らしい言葉に、ユニとソンジュンはふっと笑った。

「ああそういえばカラン」

ひょいっとヨリムは何かをソンジュンに投げた。

「その紙を挟んでいるページに、先人の良い知恵が載っていたぞ。
 いつか役立つかもしれんから、読んでおくと良い」

ソンジュンが受け取ったのは、一冊の本だった。
一体何の事だろうか?とソンジュンは思ったが、
とりあえずここを早く去りたくて、頭を下げると本を袖にいれ、
ユニの手を掴み部屋を出て行った。

パン

本を閉じると、ヨリムは満面の笑みを浮かべた。

「本当に、俺ってその道の達人かもしれんな?」

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by beckanbecka | 2014-11-07 13:07 | 成均館スキャンダル

今宵、成均館にて-108-

「キムユニ、 そんな風に考えないでくれ。
 何があろうと君は君だ、辞めても君はまだ学ぶ機会だって、
 俺と一緒に色んな事を考え,学び、変えていけるじゃないか」

「だめよ。
 ここを辞めたら,まず私はあなたを頼る事になる。
 あなたに助けてもらわないと,なにもできないのよ」

「俺が君をここに入れたんだ。
 それに、俺は君の夫だ、責任があると考えればいいだろう」

ユニは顔を背ける

「だめよ」

「なぜ。じゃあ君は一体どうするんだ!」

「..........」

向こうを向いているはずの彼女が,泣いている事がよく分かった。

俺が彼女を苦しめているんだ
そう思うと,ソンジュンは彼女の背を抱きしめたくてたまらなかった。
そっと手を伸ばした時、外から数名の儒生の声がした。

二人はそれに気づくと、ユニはさっと建物から出て行った。
ソンジュンは後を追ったが、彼女が建物を出た直後,運悪く
儒生達は尊経閣の近くで立ち話を始めてしまった。

追いたくても追えない

「くそっ....」

ソンジュンは扉を睨み,唇を噛んだ。

.......................................

「うっ.....うぅっ....ヒック....うう.....」

その時、グッとユニの身体が抱きしめられた。
誰かにぶつかったのだと気づ気、身体を離そうとしたが
相手はきつく抱きしめており、胸板に頬がぎゅっと押し付けられたままだ
どうしよう、私、泣いてるの見られて...女だってバレてしまったら......

「おぉ?テムル、一体どうしたんだ?」

上から降ってきたのはヨリムの声だった。

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「ヨリム先輩.....?」

「おぉ、おぉ、こんなに目を赤くして...泣いてたのか?」

「あ!い、いえ、違います....ちょっと目が痒くて....どうしたんだろう。
 なにかゴミでも入ったのかな....はは......」

「そうか?大泣きでもした様な酷い顔になってるぞ?
 ああ、こんなに涙が頬を流れて......テムルらしくない。」

ユニは覗き込もうとするヨリムを避け、
慌てて身を離そうと身体を動かした。

「このク・ヨンハが慰めてやろうとしてるのに.....」

「大丈夫です、僕は別に何も....」

「たまには甘えろよ」

耳元で、低い声が囁いた。
ユニはその声にドキッと胸が震えるのを感じた。
な......何?今の、ヨリム先輩が言ったの?あのヨリム先輩が?

考えれば考える程混乱して、ユニはドキドキした


「そんなに泣いてると.....男でも、お前ならこうして包んでやりたくなるだろう?」

いつものヨリムからは想像もできない低く,優しい声だった。
優しくて,声だけでヨリム先輩が微笑んでいる顔が目に浮かぶ様な
....................コロ先輩といい、ヨリム先輩といい........

私への優しさが身にしみるのか
こんなに腕に包まれて、心配されるのが胸を暖かくするなんて。
.........本当に私...以前の私とは違うんだわ。
世界がどう理不尽でも、自分一人で生き抜いてやるなんて思ってたあの頃の私

今は......私は弱い。
弱くて、守られて安心してしまう女の私。
ユニはそれがショックで,悔しかった。
しかし、そうやって包まれる事への安心を知り、どこか嬉しかった

ふと、ユニの身体から力が抜けた

「いい子だ .........俺の部屋においで」

ずるいと思う。

弱くて、自立できない女になったのが許せなくて
カラン兄上から逃げ出してきたと言うのに
傷ついてる所に投げてくれた甘い言葉には 身を委ねるなんて

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「はい.......」


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by beckanbecka | 2014-10-11 18:59 | 成均館スキャンダル

今宵、成均館にて-107-

コロが尊経閣から出て行くと、
ソンジュンはじっとユニの事を見つめた。
しかしユニは,グッと唇をかんだままソンジュンを見ようともしない。

コロ先輩の胸で泣いて、俺の事は見てくれないのか。
ソンジュンは黙っていても、胸の内は煮える様に熱く、
びゅうびゅうと嫉妬と言う嵐が吹き荒れていた。

「キム・ユンシク.....いや、ユニ......」

その言葉をかき消す様に,ユニは喋りだした。

「僕は兄上に負けた。....当然だと兄上は思った?
 ..........僕は....出来るって信じてた,兄上に負けて元々だなんて思わなかった」

それは、成均館を去るという賭けの撤廃への嘆願等ではなく、
自分を信じてきたユニに取っての,敗北の悔しさがにじむ言葉だった。
女人の君がこんな表情で,男の俺にそう考えるなんて...

「...........」

口をつぐんだユニは,まだソンジュンの腰辺りを見つめたまま、
彼の顔を見上げようともしなかった。
彼女が成均館を去る それは彼が賭けに勝った以上は,覆せない事なのだ。

それに、勝負に負けただけでも悔しいのに、女と言う立場を利用して、
ここに残らせてもらえる様、頼むと言う行為へ手を付けるしかない、しかし
手を付けたくない,と言う葛藤でユニは頭の中がぐちゃぐちゃだった、

「兄上....わ、私.........」

ソンジュンは,じっと彼女の言葉を待っていた。
「ここを去らなければならない」と言う事は、彼女の弟だけではなく
俺と互角に勝負できると信じてきた彼女自身も殺すと言う事だ。
きっと、悔しさでいっぱいなのだろう。

彼女が苦しんでいる。
..........彼女を思うが故に取った俺の行動で
どんななにこの苦しみから、彼女を救ってあげられたら

「君の弟の事は俺がなんとかする。
 君が去った後、何年かしてここへ弟が入学すると言う手だってあるじゃないか。
 それに、君の身元は俺が...俺の妻になると言う事で保証でき.......」

「私、あなたの元へはいけない」

その一言に,ソンジュンは言葉を失って目を見開いた。

「ユニ」

「私、ここで何も成し遂げられないまま、ユンシクに更に苦労をかける事になったのに、
 あなたの妻になんて私,なれないわ、なる資格なんて無い」

「何を言ってるんだ,ユニ。君は俺の妻だ。
 婚礼をあげてい無くったって、俺たちは夫婦になったも同然なんだ。
 なぜそんなことを言うんだ、君は俺を愛しているし、俺だって君を愛して」

「違うの。
 あなたの事を愛しているけど、あなたの妻になるには....何もかも中途半端な....
資格が無いのよ........許せないの,今の自分が」

ユニの声は震えていた。

「ユンシクの事だって、あなたに頼る事になって
 私は自分では何も出来ない女だと分かって
 頼るしか出来ない女だってよくわかって...........」

声が消えていく

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ソンジュンは彼女をじっと見つめていると
ついには、彼女の白く、艶やかな頬を涙が滑り落ち、
ユニが目を閉じると,一気に何筋も涙が滴り落ちていった。

「そんな風に考えるな」

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ソンジュンは穏やかにそう言った。

「俺が君の弟の事をどうにかする、というのは同情心から何かじゃない。
 愛する君の家族の事だ、夫の俺が責任を負う事だからだ。
 それに、君をここに入学させた事だって俺のやった事じゃないか。

 中途半端な状態では俺の元に来れない?
 君のどこが中途半端なんだ?君は上を,上を見続ける女(ひと)じゃないか。
 成均館にいなければ,君のその志は消えてしまうのか?
 俺の妻になったら,消えてしまうのか?君はそんな女じゃないだろう。

 君は君だ。
 どの段階でここを去ろうと、俺の妻になろうと,君は君だ。
 ..........もしも君を失ってしまったら?そう考えるだけで恐ろしいんだ。
 だから、そう考えずに俺の元へ来てくれ。俺の妻を...俺は守りたいだけだ」

ソンジュンの誠実な言葉が嬉しかった。
しかし、自分に納得できないのは、自分が自分を許せないからだ。

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「いいえ......私は......約束通り成均館を辞めます
 そして........兄上、あなたにはもう......お会いしません」

ユニの言葉に、ソンジュンは言葉を失った。

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by beckanbecka | 2014-10-08 10:25 | 成均館スキャンダル

今宵、成均館にて-106-

「うるせぇなぁ」

その声に、ユニは驚いて後ろを振り向いた。
すると、コロが欠伸をしながらムックリと起き上がるではないか。
ユニは、悲しみよりも焦りで真っ青になった

「なにを試験で一つ老論に負けたくらいでピーピー泣いてんだ。
首席はいつもあいつ、それに変わりはないじゃねぇか、今更、女みたいに泣くな」

コロはぶっきらぼうにそう言った。
ユニはバレていない事にほっと安心しつつ、
コロ先輩までそう思っていたのだ、とがっくりうなだれた。
私は本気だったのに....それも自惚れだったのね。

再び絶望と、途方に暮れていた感情が蘇ってくると
彼女の瞳には再びじわりじわりと涙が浮かんだ。

「親民、いい答えじゃねえか。俺は好きだぜ」

その言葉に、ユニはますます慰められ涙しそうになった。
一人で突っぱねてきて、頑張ってきた分、コロのその言葉が嬉しかった。
兄上は、私に辞めろとしか言わないし、試験が終わった後だってきっと....
きっと、自分が首席なのは当然の事だろう、って思ってたんだわ。

「泣くな。」

コロはユニの方へ近づくと、ぐいと彼女の顔を自分の胸に引き寄せた

「わぷ」

「泣くなら、たまには先輩とやらの胸くらい貸してやる」

コロ先輩の香りだ
なぜか彼からは酒でもなく、男くさい香りでもなく、落ち着ける、優しい香りがした。
今まで聞きにあって助けてもらった時、何度も何度も嗅いだこの香り...

「うっ...う、う....」

「男なら、泣くのは一度だけで十分だ。今だけ、聞いてやる」

その言葉で、ユニは堰を切った様に声を上げた。
ぎゅっと自分を引き寄せるコロの手が、声を彼の胸の中へ吸い込んでいった。
指先は何度も、何度も、ユニの頭を撫でていた

あの馬鹿、好きな女をこれだけ苦しませて悲しませて
探しにもこないなんて、利己心の固まりの様な奴だな。
俺なら、どんな困難も俺が前に立って守ってやるというのに。

「キム・ユンシク!」

ハァ、ハァ、と息を切らしながら、ソンジュンもこちらへやって来た。
彼女が来るとしたら、残るはここしか無いであろう。
ソンジュンは扉に近づくと、そっと隙間から中を覗いた。

「..........!?」

ソンジュンは目を見開いた
その中にいるのは、コロと....彼の腕の中にいるユニだった。
嫌がる訳でもなく、コロはユニの世を抱き寄せ頭を撫で、彼女はコロの行衣にしがみついている。
信じられない、他の男の腕の中にユニがいるなんて。

ソンジュンは扉をガタンを開け、
その音で驚いてユニはソンジュンの方を見た。
彼は怒りを顔に浮かべてはいなかったが、こちらへ寄る足音で彼の怒りは理解できた。

「コロ先輩、キムユンシクを離してください」

「なんだ。なぜ俺に命令する?」

「いいから、彼を離してください」

「俺は泣きたいってシクが言うから胸を貸してやってただけだ」

ふん、とコロが睨みながらソンジュンへ言った。

「こんな場所で2人こうしていてはあらぬ事を疑われます。
 早くキムユンシクをこちらへ」

「俺は別にかまわねぇぜ。
それに......シクを所有物みたいにあれこれ指図するお前は一体何様だ?」

ユニは、ソンジュンが自分をじっと見ている視線の強さに震え、
ぱっとコロの腕の中からはなれた。
すると、ソンジュンはユニの腕をぐっと引いて自分の方へと近づけた

「俺はキムユンシクに話があります」

「シクには無いようだが?」

「彼になくても、俺にはあります。行くぞ、キムユンシク」

「いやだ....!」

ユニのもう片方の腕をコロが掴んだ

「嫌がってるだろう」

ソンジュンは、2人きりになって話がしたかった。
でないと、賭けの事も、これからの事も、ユニへの慰めも言えやしない。
歯痒さ故に、ユニを引き寄せる腕に力が入る

「お前、言いがかりをつけて民に絡む官軍の下っ端みたいだな。
怖がってるだろう、少しは遠慮ってモノを知らんのか。」

その一言で、道理に反する自分の感情的な態度二気づき
ハッとユニから手を離した。

「キムユンシク.....頼む、2人だけで話したい。
 大切な話だ........その.......君を泣かせる内容ではないから」

潤んだユニの瞳が、ソンジュンを見た。
彼の瞳は、今は気遣う様に、優しい表情で自分を見ている。
本当に.........?

ユニはそろそろとソンジュンの顔へ手を伸ばした。

「おいシク」

コロの声にユニが振り返る。

「お前が帰ってこないとか、いきなり成均館からいなくなるとか
 何かおかしなことが起こったら、俺はこいつをぶち殺してやる。
 何かあったら俺に言え、良いな」

そう言うと、ぱっと手を離してドスドスと出て行ってしまった。


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by beckanbecka | 2014-09-23 10:00 | 成均館スキャンダル

今宵、成均館にて-105-

「はぁ、はぁ」

バタンと尊敬閣に入ると、扉を閉めた。
思い切り走ってきたせいで、心臓が飛び出そうな程ドキドキして
息はうまく出来ない程、ハァハァと空気を求めていた。

私は、ユンシクの人生を何だと思っていたんだろう
私は、カラン兄上の優しさを何だと思っていたんだろう

解答を目にした時、時間も全ての音もなくなって
まるで真っ白になった様な気がした。
心のどこかで兄上なら許してくれる、そう考えていた自分の甘さが、
この結果を引き落としたのだと思った。

どの顔を下げてそんな事を頼みにいけるの?
甘える様に愛する男に懇願するの?こんな時だけ女の強かさを利用して
女はそれしか能がないとさんざん男に蔑まされてきた事に、抵抗していた私が

ハッとユニは笑う様に息を吐き捨てた。

「は.......は........」

「ユンシク!キム・ユンシク!」

バンッと勢い良く中二房の扉を開けた。
しかし中には、くるりと首を向けてニヤニヤと寛いでいるヨリムしかいなかった。

「お〜ぉ?カラン、そんなに慌てて何を探してるんだ?」

「いえ....あの...」

「テムル?さっきまで一緒にいたじゃないか、ファン  ガム   ジェ」

より無先輩の言葉と、視線は俺の心の中が見透かされるようだ
ソンジュンは視線を逃れる様に、中二房の扉を閉めた。
一体、彼女はどこに行ってしまったのだろうか。

まさか、まさか俺に負けて成均館を辞めなければいけないから
やけになって、ここを飛び出していってしまったのでは!?
最近ウンジョンガの細い路地裏で女人が通り魔に遭う事件も耳にする。
男の格好をしていても、もし難癖を付けられて女と分かってしまったら!?
もし、俺の分からない所で他の男に身を汚されていたら!?

ソンジュンは悪い想像だけがぐるぐる頭に浮かび、
いても立ってもいられずに成均館を飛び出した。

............................

「はぁ、はぁ.....っく.......ひっく........」

呼吸が落ち着いてくると、やっと恐怖と悲しみと
これからの不安がどっと押し寄せてきた。
ユニは人がいないこの場所で、一人静かにしゃくり上げた

「うぅっ....ひっく...うっ............」

「..........るせぇなあ..............」

背後から聞こえてきた声に、ユニはビクッと飛び上がった。
まさかこんな場所に人がいるなんて思ってもいなかったのだ。
どうしよう、入っては行けない場所だし、ましてや私今、女の声で.....

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by beckanbecka | 2014-09-18 02:13 | 成均館スキャンダル

今宵、成均館にて-104-

ユニとソンジュンが成均館へ戻って数日後

2人が決着を付ける黄柑製の当日を迎えた。
済州島から運ばれた甘酸っぱい蜜柑の香りが、
成均館の建物からいっぱいに広がる。

大司成からおこぼれが無いだろうかとウロウロと斎直はうろつき、
籠一杯の蜜柑が学生の前にドンと置かれた。
これで主席になった方が勝ちなのだ、ユニは試験の直前まで、
ぶつぶつと一人で唇を動かしていた。

横に座っているソンジュンは涼しい顔と思いきや、
ちらちらと横目でユニの絶えず動く唇を盗み見ていた。
コロも今日だけはきちんとした身成をしている、珍しい
ヨリムはちらちらと袖の中をのぞき見ている、きっと変わった柄なのだろう。

明倫堂で

ユ博士が口を開く度、ソンジュンとユニの手がピッとすぐさまあがった。
まるで、速さを競う様に2人は手を挙げ合い、
珍しくソンジュンが頭を悩ませばユニが答え、ユニが悩めばソンジュンが答える

甘い蜜柑欲しさに少しはやる気のあったヨリム達も、
あまりの2人の回答の早さと、「一体なんでそんな事が覚えられるんだ!」
とでも言いたくなる程の回答に、ただただ口をぽかんと開けるだけだった。

「ちっ....男の俺ですら大負けしてるじゃねぇか。
 とんでもない女だな.....」

コロは聞こえない様にぼそりと呟く

「本当、そうだよなぁ」

うんうん、と頷くヨリムに、コロはビクッとした

「お、お、お前聞こえたのか!?」

「え?こんなの分かるかってんだ、あいつら化け物か?特にイソンジュン
 って言ったんじゃないのか?本当だよなあ〜。おれ、あんな男に嫁ができるか
 カランと言う名前といえども心配になってきた」

ヨリムは大げさにため息をついた

「そこ!口を開くなら手を挙げてからだ!」

ユ博士のお説教が飛んできた

......................................

最終的に勝ち進んだのは、案の定ユニとソンジュンだった。
最後の試験は、王直々の問題であった。

「民に対する役人の心構えを破字を使って答えよ。
 考えの原点は礼記第42編の........」

王の達筆な書が目の前で広げられた瞬間、
ユニは頭の中で乱れ飛ぶ書物の文章がぐるぐると回り、目眩がするのを覚えた。
まずい......一体、その篇の中には何が説かれていたのだろう...

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ウタクやドヒョンとかも神妙な面持ちだ。

たしか、42編には大学の....

ソンジュンも少し考えたようだったが、考え込むユニをチラリと見て
すっすっと手を動かすと破字を完成させた。
解答を同時に発表し、その元にした教えの一文を説明し終えると、
そこにいた博士達の顔が一瞬驚き、そして深く頷いた

「正しい答えは「新民」、イ・ソンジュンが正解だ」

「こんな難解な問いですら解くとは、さすがイソンジュンだ」

「しかし、キム・ユンシクの解釈もすばらしい。
 引用する篇を誤ったとしても、いい答え出し十分イソンジュンに張り合える」

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ユニは何も感じさせない表情の無い顔でソンジュンを見た。
悔しいとか、悲しいとか....そんな気持ちを一切見せないユニが、
ソンジュンは逆に心配であった。

「イ・ソンジュン見事な答えだった! 首席おめでとう。
 キム・ユンシクもそれに追随する良い解答であったぞ」

博士達は口々に2人を激賞すると、
久しぶりに白熱する戦いに満足した博士と大成司は、満足げに帰っていった。
ユニは、自分の作った破字をじっとみつめていた

私は........私は負けたんだ.....

大見得を切って兄上と約束したんだもの
道理に叶わぬ事を嫌うカラン兄上に、取り消してくれと懇願できる訳が無かった。
........約束通り、私は成均館を去り、私は............

ユンシクの未来を、ダメにしてしまったのだ.......

ユニはがたっと立ち上がると、
ソンジュンが慌てて立ち上がり肩に触れようとしたのも逃れ、バタバタと試験部屋から出て行った。

「キムユンシク!」

やっと、愛する女を男だらけの成均館から救い出せるというのに
そして俺の妻になるのに、一つ障害を越えるきっかけなのに
どうして............................

俺はどうして、こうも彼女への後悔に胸が苦しいのだろう。

ソンジュンは、ユニの走っていった方を見つめながら、
自分が一体どうするべきなのか、答えを出せずに立ち尽くした。


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by beckanbecka | 2014-09-15 19:58 | 成均館スキャンダル

今宵、成均館にて-103-


すぅすぅと安らかな寝息を立てるユニ
障子の紙から漏れ入る月の光が、彼女の白い肌を光らせる。
解いた長い髪は艶やかで、君と顔を近づければ花のような香り

ソンジュンは、こうして彼女をユニとして抱きしめ、
言葉だけでなく身体全てで愛を伝えられる、幸福に浸っていた。
これが毎日続けられたら、どんなに俺は幸せだろう。

2人の想いはもう既に固まっているのに。
彼女が成均館を出るまで!?そんなに俺は待ちきれない。
それに、彼女が他の男に万が一でも特別な感情を持ったら!?
ああ!?そんな事絶対に許せない

しかし、王様はなぜいきなりそんな事を言いにここまで...
なぜ俺たちに都合のいい事ばかり起こるのだろう。
..........多分王様は知っているのだ、キムユンシクの秘密を。

ソンジュンは、ユニの唇を見つめた。
肩のラインを通って、そっと身を起こし、うなじを見る。
弓の様にしなやかな背中があって......
そんじゅんはそっと、布団を彼女の身体から引きはがすと、
背中から、お尻への曲線を見て、ゴクッと喉を鳴らした。

さっきまで、俺の下であんなに理性を忘れていた君......
君が悩ましげな声を上げる度、俺は身体が言う事を利かなくて
........こんな事、本当に初めてだ。心乱さずに生きると決めたのに、
君の事では些細な事で喜べたり、悲しんだり、苛立ったり....

「ユニ......俺を早く助けてくれ......」

ソンジュンは、そっと身を屈ませると、
彼女の胸に顔を埋め、柔らかな乳房に頬擦りした。
まるで子供が母親に甘える様に、彼は彼女の身体に抱きついた。

「お、王様....なぜ...」

ユニの母親は真っ青になってガタン、と音をたてた。
後ずさった足下に茶碗を置いていたのだ
倒れた茶碗から、ドクドクと茶が床に溢れている

「おお、大変だ。床が濡れてしまう」

王は慌てて玄関へと転がって来た茶碗を拾うと、トンと床に置き直した

「そなたの子供、キム・ユンシクとキム・ユニについて話があって来た」

「なぜ、名前を.......」

「余が、余の長年の友のこの名すら知らぬと思うのか?
 キム・ユンシクはそれでなくても、成均館で話題に上らぬ日は無いというのに」

「ユンシクが何かしでかしているのですか!?」

母は真っ青になって、王に身を乗り出した。

「ははは、そうではない。
 奥方よ、余が言うのもなんだが立ち話もあれだ。
 どこか腰を落ち着けて、ゆっくり話でもできぬだろうか?」

.......................

王は座布団に腰掛けると、
ユニの母親は改めて、王に暖かい茶の入った茶碗を差し出した

「王様がいらっしゃったというのに、お持て成しする余裕もなくて....」

寂しげに下を向き微笑む母親に、王は胸が痛くなった。
余が至らぬばかりに、民にはこんなにも苦しい生活を強いっておるのか。
家柄の良い男ばかりがいる成均館で、ユニもさぞ苦労したのだろう。
母親の後ろにある、繕われている途中の服を見て、王は微笑んだ。

「なに。わしも手みやげの一つも持たず、すまんのう。 
 奥方と娘のユニはちゃんと暮らしていけておるのか?
 今度、ここ一体の支援として米を民には支給しよう、約束する」

「それは願っても無い幸せでございます」

「.....奥方よ。一人で何もかも背負わずとも良い。
 この暮らしも、この世の中も、全て余が至らぬ結果じゃ。
 もっと余を責めよ、そして余を奮い立たせ、この国を変える力をくれぬか」

「王様........」

彼女は、王が何を言わんとしているのか
うっすらと輪郭ばかりが見え隠れし、肝心の中身は見えない。
それだけに心は縮む想いで、悟られまいと必死に表情を変えようとしなかった。

「.........わからぬか、そうだな。分かるわけが無かろう
 余が何を言っているのか.............はっきり言おう。
 奥方、そなたの子供、ユニとユンシクの人生を余に授けてくれないか」

..................................

「ふぁ......んん......ん?ん!?あ、あ、兄上!?」

ユニは目を覚ますなりぎょっとした。
自分の胸に、ましてや何もつけていない胸元に
ソンジュンが頬擦りする様にぴったりと抱きついて、眠っているではないか。
ど、ど、どうしよう.......よりによって、胸にだきつかなくても.....

「うん......」

そう言ってソンジュンがもそもそと顔を動かし、
再びユニの身体をぎゅっと抱き寄せ、スースーと寝息を立てた。
その表情の安らかな事に、ユニは胸が熱くなった

「アラン........」

いつも見せない彼の純粋で、無邪気な表情
そして、いつも冷静沈着で大人びた彼の、子供のような行動
なんだか、愛しくて仕方が無い。まるで子供を持ったような...
いや、そもそも子供なんて持った事無いけど.....

平凡でいい
幸せで、穏やかな日々が貴方と一緒に過ごせたら...

「アラン、私も早く、貴方と一緒になりたいわ」

そう言って彼の頬を撫でた。
そして、額にキスをしようと顔を近づけた

「本当だな?キム・ユニ。じゃあ早く俺と一緒になろう。」

いきなり声が聞こえると、
ゴロンとユニは布団に仰向けに転がされ、
真上に彼の目をぱっちり開いた彼の笑顔を目にした

「ず、ずるい。眠ったふりするなんて....!」

「前から思っていたが、怒った顔も可愛いな」

「兄上のバカ!」

私を見下ろす兄上、それだけじゃなくて、
何も着ていない姿を見ると、上になられると昨日を思い出して
ドキドキ.....してしまうの.....

「残念だが、俺は君が怒ろうとどうしようと、君が好きだ。」

「ふ、ふん!私、騙されて本気で怒ってるんだから」

「怒っても可愛い」

チュッと素早くソンジュンが唇を重ねた

「もっ..........」

「ユニ、愛してる。」

じっと見つめる貴方の瞳、色づいた唇、長い睫毛

「ずるいわ.....アラン......」

私だけを見つめてくれる瞳.....
触られると、安心する手のひら
再びソンジュンが接吻しようと顔を近づけた時、ユニは抵抗しなかった。
じっと見つめ合い、やがて目を閉じ唇を重ねた。

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by beckanbecka | 2014-08-26 00:02 | 成均館スキャンダル

今宵、成均館にて-102-

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by beckanbecka | 2014-08-23 21:36 | 成均館スキャンダル

今宵、成均館にて-101-

ソンジュンが部屋へ戻ると、
二人は突然の出来事に放心しているようであった。

二人横に並んだまま、じっと布団の中から天井を見上げている。
まるで、天井の木目がゆらゆらと揺れ動くような錯覚がして
何も言わずにそれに見入っている。

「..............」

最初に沈黙を破ったのは、ソンジュンだった。
そっと腕をユニの布団の方へ移すと、彼女の手を握り

「俺、いい夫になるよ」

「兄上...........」

「だから、ユニ.....その、兄上って言うのはもうやめないか? 
 夫婦になるのだし、その..........」

「でも、何と呼べばいいかしら?咄嗟に呼んでしまわないか不安だわ」

「ほら、俺の呼び名と似ている.......」
 
「あ....アラン(背の君)......」

「そう」

いつのまにか、ユニの目の一寸先にソンジュンはいた。
見上げれば、暗闇でもきらりと光る漆黒の瞳が、ユニを見つめている。
男らしい腕がそっと伸びてきて、ユニの腰を抱き寄せた

「あ」

「ユニ、俺はもう君を離さない」

「アラン......じゃあ、無事卒業するまで、私は成均館にいていいのね?」

ユニが嬉しそうにそう言うと、
ソンジュンはピタリと彼女の体に触れる手の動きを止めた

「いや。君は成均館を離れ、俺の妻にすぐなってくれる、そうだろう?」

食い違う解釈に二人は顔を見合わせた。
そして、未だにファンガムジェの宿敵のままである事に違いはないと気づいた。
王がユンシクの事を約束してくれたと入っても、それはユンシクが成均館を”卒業した”
事を念頭に離しているはず、もしそれを兄上が父親の力も添えた上でどうにかしようと
考えているのだったら、それは絶対にだめよ!ユンシクのためにならない!

「まさか。兄上の妻になるのは、無事成均館を出てからの話よ」

「しかし、王は早く俺たちに一緒になれと言ったじゃないか。」

ソンジュンは覆い被さるようにユニの頭上の視界を覆った。
見上げれば、まっすぐに自分を見下ろしてくるソンジュンがいる。
胸がドキドキと高鳴る感触がまた、体に蘇る

「いやよ。私は成均館を出るわ、堂々とね」

二人は互いに顔を見合わせたまま、しばしの静寂が漂った。

「ユニ。.......それに、俺、心配なんだ」

ソンジュンはそっと、ユニの首筋に顔を埋めた。
ユニはあわてて、宿敵に立ち戻ったソンジュンの体を押し戻そうとする。

「兄上、だめ...!」

「君が、魅惑的な女人の表情を見せる度.......
他の儒生が、君の.....体や表情にじっと見とれているのを側で見る度、
 俺は気が気じゃないんだ」

「気をつけるよ、表情は。絶対に出さないから」

ユニは、ユンシクとしてそう言った。
ソンジュンは首筋に吸い付くと、舌先でゆっくりとなぞった。

「だからちゃんとバレないように気をつけて卒業...ぁんっ...!」

ゆっくりとソンジュンは耳元に近づくと
耳たぶを甘噛みして、熱い吐息を吐くと口を開いた

「少し触れただけで、こんなに魅惑的な声を出してしまうのに?」

「そ、それは..兄上だからよ.....
 他の人にそんな事させないし、もし体が触れ合ったとして、こんな声でないわ。」

「体だって、どんどん君は女らしくなっていってる、丸みが出て...」

「嘘!?そんな、太ったのかしら。
 まさか、でも、そうだったらもう少し運動して以前のように痩せるから...」

「そうじゃなくて」

ソンジュンは腰を抱いていた手をすっと下に滑らせると、
柔らかで、桃のように丸みを帯びているユニの尻を撫でた。
チマ越しだとしても、ビクンとユニは震えた。あまりに甘美な感覚が襲ったからだ

「あっ.......」

「ここも」

ソンジュンはユニを見つめながら、チョゴリの紐をゆっくりと引き下ろした。
解かれたチョゴリの合わせを人差し指で左右に分けると、
既にさらしを取り除き、チマの下でたわわに息づいた胸の谷間が暗闇で光った

「ここも.....君を見る度に、ユニ、君は美しくなっていくんだ。
 俺でさえ、目のやり場に困るほど...その、男の情欲を掻き立てる」

ユニは、ソンジュンの切なそうな表情を見る

苦しいほどに自分を求めているのだと気づいた、
また、兄上も、私と同じ位ドキドキして、欲情の衝動に支配されつつも
必死で抗っている、そんな状態にあるのだと言う事にも、気づいたのだった。

「アラン........」

「もう我慢の限界だ、.......ユニ......」

そう言って、ソンジュンはユニに唇を重ねた。


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by beckanbecka | 2014-07-31 09:46 | 成均館スキャンダル

今宵、成均館にて-100-

視線が通い合って、どちらが何かを言った訳でもなく
二人の顔の距離は縮まり、ソンジュンはそっと目をとじ、
彼女の吐息が誘うまま、唇を重ねようとした

静かだった外から、ザッザッと大人数の男の足音が聞こえてきた。
二人は、はっと目を合わせて凍り付いた。
........誰かこの屋敷に来た。

ユニは真っ青になり、
身を起き上がらせると隣の部屋へと体を向けた。
まずい、早く着替えないと!!!!

ギィと門が開く音がして
ソンジュンは戸の閂はちゃんと差し込んだのになぜかと驚いた。
まずい、これはユニをこの屋敷に誘い込んだ儒生の罠であったか。
とにかく、ユニが着替えるにしても間に合う訳がない。

「ユニ、君の服はどのようにしている?」

「ここの主の持ち物か、いくつか服はかけてあったから
 そこに並べてかけているわ。折り畳んでおいてはいないけれど」

「わかった」

ソンジュンはすくっと立ち上がると、
灯りを手元に移して、扉を開け外の縁側を睨んだ

「こんな夜にどなたですか。盗人のような真似をして忍び込むとは」

「人聞きの悪い。ちょっと門を開けただけではないか。
 世を盗人呼ばわりするとはお前が初めてだ、イ・ソンジュン」

この声は.....
ソンジュンはその声を聞き血の気が引いた。
暗闇から一人ザッザッと現れたのは、隠密姿の王であった。

「王様、なぜこんな真夜中にこんな場所へ」

その声を聞いて、部屋の中にいたユニも真っ青になった。
まずい......というよりも、もう御終いかも知れない。
きっと王様は気づいていて、私たちを追ってここまで来たんだわ。
私が、安易にこんな誘いに乗ったばかりに.....どうしよう、どうしよう。

母上が....ユンシクが.....それに、兄上まで.....!!!!

「それは、そなたに話があったからだ。
 そなたの家へと参ったが、女の使用人がここだと教えてくれてな。
 そなたの子弟のようなあの....大男は不在だった故、なかなか見つけるのが大変であったぞ。
 して、なぜかような場所、そなたの別邸ではなかろうに?なぜ一人こんな所へ?」

「そ、それは........」

「ふふふ、慌てずともよい、ワシはそなたの口煩い父親でもない。
 それに、そなたが一人でかような場所へ勉学のためにわざわざやってくる必要もない
 身分の子息だという事は十分にわかっておる.......そなた、ど〜〜〜〜〜も身を固めて
 成均館へ進まぬと思っておったが......やっとそなたの秘密に触れる事ができそうだな」

王はニヤニヤと楽しむように笑った。
真面目一徹のソンジュンが、両親には言う事ができぬ禁断の愛に溺れている
そんな男としての一面を見つけて嬉しいのだろうが、禁断も禁断、洒落になる話ではない。
ソンジュンは、どうごまかすものかと頭の中で静かに考え倦ねていた。

「そなた、どうしてこうも同室のキム・ユンシクと仲が良いのかとワシは
 常々不思議だったのだ、あまりに綺麗な儒生といえど、相手はテムルと名高い男。
 しかも牡丹閣一番の妓生を恋人に持つ程の”腕前”....清廉潔白なそなたと真反対。」

まずい、これは...王は男色だと想定して話しているのだろうか

「.....................」

「そなたが志を共にしている学友だとしても、仲が良すぎる!
 しかし、ワシはようやくその訳に気づいたのだ。だからここへやってきた」

「..........私には、王がわざわざ真夜中にこんな所まで御出でになってまで
 私におっしゃりたい事とは、何か見当もつきません」

「そうか?ふっふっふ。
 そなたも隠すのぉ、秘密主義の男は女にもてるのを知らんのか!
 いろんな良家の女性達を惑わしておると、自分で気づいておるまいに!」

「...........」

「キムユンシクの父親は、若き日の余と、チョン博士の長き友であった。
 やつには子供が二人おってな、娘と、年下の息子と一人ずつおるのだ。
 ........イ・ソンジュン、そなたがキム・ユンシクとあんなに仲が良いのは、
 いずれ義兄弟となるから.......であろう!!!はっはっは!気づいておるぞ!!!」

ソンジュンは、一瞬心臓が止まりそうなほど体を固くした
............ものの、よくよく耳に入った言葉を頭の中で再生し直すと、
王の事を不思議そうに見つめた。

「そなた!!キムユンシクの姉と秘密裏につきあっておるんだろう!
 この〜〜〜、余の知らぬ所で愛を育んでおったとは!!
 使いの者を念のためにキムユンシクの屋敷へと遣わせたが、姉のキム・ユニは不在との事で
 あった、キム・ユンシクは成均館から戻り体調を崩していると聞いたが、大丈夫か?」

ソンジュンは、一瞬の希望が垣間見れた気がした。

「...........王様、キム・ユンシクはやはり定期的に体調を崩してしまうのです。
 俺は、身を固めて御使えしたい、この世を変えたいと思っています、彼も同じです。
 ただ、常に自分の体調を心配しながらの日々なのです、」

「うむ......」

「彼の当初からの希望を覚えておいでですか?
 地方の穏やかな土地で、彼は国のため御使えしたいと申しております。
 それを、汲んではいただけないでしょうか。」

王は背を向けて、月の輝く夜空を見上げていた

「どうしようかのう。
 キム・ユンシクが余の側からいなくなっては、つまらぬではないか。
 あそこまで綺麗な顔の人間はおらぬし、話しても、揶揄っても面白い」

くっくっくっと王の背中が揺れていた

「キムユンシクの姉上....そなたの恋人は同じく綺麗か?」

「はい、とても美しく、心の澄んだ、そして勇敢な女性です」

ソンジュンはいつも通り落ち着いた声で、はっきりとそう言った。

「俺は、あの人が女だからといって、男に劣るなんて全く思わない。
 彼女もまた、世を知り、書を嗜み、俺と同じようにこの国の変貌を願っている。
 話していて俺はとても楽しいのです、ほかの儒生と話している時よりもずっと楽しい。」

「じゃあ、そなたらが結婚したら、世も話に交えてくれるか?」

「え?」

「余だって、話していてずっと楽しいぞ。他の頭でっかちな者なんかと話して、
 何が面白いものか。そなたらと話してると時間すら忘れるほど楽しいのだ。
 だから、そなたらが結婚したら、余は遊びに参るぞ。何度でも参るぞ?
 それでよければ、惜しいがキムユンシクの願いを考えてやっても良い」


ソンジュンは驚きつつも、力がほっと抜けると、素直に微笑んだ。

「?.......なんと!そなたでも、そんな顔をするのだな!初めて見たぞ!
 そなたが、そなたの年相応に見える顔を!」

はっはっはっと豪快に王は笑った。
その時、扉を閉じていた部屋の中から声が聞こえた

「王様、恐れ多い事でございます。
 王様直々に、我が弟の我がままを聞いていただけるとは.....
 姉として、感謝してもしきれませんが、お礼を申し上げます。」

「おぉ!その声はキム・ユンシクの姉か?!!」

王は大げさに驚いてみせた

「は、はい、キム・ユニと申します.....」

「美しい声じゃ。きっととても美しい女性なのであろうな。
 しかしこんな夜更けに、若い女性の顔を見ようとは余の身分と言えど無礼な行いだ。
 出直して、そなたらの婚礼の折に改めて、会おうではないか」

ユニは、王のその一言一言がどこか不自然で、
何となく芝居がかっているような気がした。
もしかして、王はすべてを知っていて、そう言っているのでは...とすら思った。
.........ううん!まさか!こんな事が許される訳がないのに!!
なんて私は好運なのかしら。

ユニもまた、一度は凍り付いた体に血が通い、
嬉しさで心が満ちあふれ、ドキドキと体が熱くなるほど、興奮している事に気づいた。
ずっとのしかかってきた不安が、ふわりと羽のように浮いた気がした。

「よし、ふふふ。
 堅物と名高いイソンジュンには熱烈に愛する美人の恋人がいて、
 それはキム・ユンシクの姉で、実は同室生を偽りつつもキムユンシクとは義兄弟になる仲..
ははは!そんな事誰も知るまい!余だけが知っている秘密じゃ!ははは!」

嬉しそうに王はそう笑うと、
くるりと門の方へと体を向けた

「王様」

「満足じゃ。余とそなたとキム・ユニ、3人だけの秘密だ。よいな!」

「はい」
「はい、王様」

ハハハと笑うと、王は満足そうに門の方へと消えていった。
ギィ、と音がすると、再び閂をはめる音が響き、しゅっと足音が消えた。
まったく、王の遣いが堂々と人の屋敷へ忍び込むとは...

ソンジュンはほっと力が抜けると、ふぅーと息を吐いた。

「兄上」

ひょっこりと扉から顔を出したユニの頬も紅潮していた。

「ユニ」

ソンジュンはすぐに部屋に入ると扉を閉めて
ユニの事をきつくきつく抱きしめ、ユニもソンジュンの広い背中を
しっかりと抱きしめた。

俺たちは結婚できるのだ。

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by beckanbecka | 2014-07-30 18:30 | 成均館スキャンダル


屋根部屋のプリンス二次創作小説をつらつらりと書いてます


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