静かな海の様に-26-


「ふんっ」

もう少し

「ふんんっ」

あとちょっと!

「くぉぉ....」

「これですか?」

背後から、すっと腕が棚の最上段へと伸びる。
振り向くと、パクさん...いや、司書さんがにこりと微笑みながら後ろに立っていた。
はい、と取ろうとしていた本を渡された

「あ、ありがとうございます....」

図書館に着いたときは、カウンターで忙しそうにしていたから
挨拶も目を合わせることも出来ず2階に来ていたんだけど.....

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「パクさん、ドイツ古典のマ行ってこんなに上でしたか?
 前はもう少し取り易い....隣の棚の中段にあった気がするんですけど」

「ちょっと訳あって、そこになったんですよ」

「そうなんですか...でも取りづらいなあ。
 今一巻だし、まだまだ借りなきゃいけないのに....変えられません?」

「変えられません。」

「そんなー。何でですか?隣の下段空いてますよ」

「本が入る予定で。」

ごめんね
俺がこうやって本を取ってあげたいからって変えちゃって。

「今度から」

そう、俺を呼んでくれれば良いよ

「踏み台を他のエリアから持って来ないと」

ふっとユチョンは気づかない彼女に微笑んだ

「あの。この図書館の司書は君の何?」

「えっ?....こ、恋人です(小声)」

「だったら、図書館で困った事があったら司書を頼るべきだし」

トン、と棚に手をついて、彼女に顔を近づけた。

「恋人の僕に頼んでください」

あ........

パクさんがじっと私の顔を見て,顔を近づけた。
だめ、だめだって....ここは人から見え易い所だし
仕事中のパクさんの事を誰かに見られたらまずい!!!

「わ、わかりました」

思わず顔を背ける

「ん、何でむこう向いちゃうんですか」

耳の近くで聞こえる声

「だ、だって人が来るから....」

「来る前に」

「ま、前になんですか」

また声が近くなった。
どうしよう、一体どのくらい近くにパクさんいるんだろう。
前に、前にナニしようって言うんだろう〜〜〜!???!

「今度から、来たら教えてくださいね。まったく」

頭をポンポンとされた。

「あ....はい......」

な、なんだ....びっくりした。
ドキドキしながら正面を向くと、パクさんがいつもの司書の顔をして立っていた。
じゃあまた昼に会いましょうね、と言って去っていった。

そうだよね....図書館の中ででまさかチュウとかしないよね。
誰か来るかもしれないんだし.......私ったら何考えて....

ユチョンは1階に戻りながら唇を捻った。
もう少しタイミングが早ければキスできたのなあ.....
隣からこちらの棚に向かってくる足音が聞こえた以上、諦めざるを得なかった。

「司書は狼なのよ、気をつけなさい♩」

フンフン、とユチョンは階段を駆け下りた。

...........................................................

「ん、美味しいです!」

「本当に?よかった〜」

「このスープを熱々で飲めるの,凄い良いですね」

ユチョンはじっと青色のポットを見つめた

「あなたと色違いって言うのも、なんかカップルっぽくて良いですね」

「そうですね。でも...使えて良かった」

ユチョンはその言葉に、不思議そうな顔で彼女を見た

「一回は、捨てようと思ったから」

「えっ.....」

「買った後、友達といるパクさんの事を見つけたんです...それで...」

ユチョンは、そんなに前から彼女がこれを買ってくれていた事に、
そしてそんな彼女を自分は傷つけたという事に胸が痛くなった。
じっと自分のピンクのポットを見つめる彼女の手に、彼は手を重ねた。

「ありがとうございます....捨てないでくれて」

「捨てようと思っても...すぐ手放せなかったんです。
 心のどこかでは捨てたくないって、思ってたんですね」

彼女が彼に向かって微笑むと
ユチョンは更に彼女への気持ちが大きくなるのを感じた。
あんなショックな言葉を本人から聞いて,俺が彼女なら立ち直れなかっただろう。

「明日はどこに行きましょうか」

「あ!そうですね。うーん....あ、そういえば遊園地!
 隣町の遊園地、冬のクリスマスイルミネーションが綺麗みたいなんですよ」

「イルミネーション...いいですねえ。それに遊園地って言うのも、暫く行ってないですね」

「....最後に行ったときもデートですか?」

「ははは。残念ながら男の友達とです。」

「あ....あの話してた人たち?」

「はい。高校からの付き合いで。
あの......あの時は酷い会話を聞かれてしまいましたけど,本当は良いヤツなんです。
 嫌わないでやってくださいね」

「はい...いや、嫌うだなんて。
 ただ私はお話が合わないタイプの人だなって思っただけで...」

「羨ましがってましたよ、僕に恋人が出来た事を」

「え?でも、モテる感じの人だった....」

「そう見えるけど、不器用なんですよ。
 不器用だから真剣に恋人が作れない。だから僕が先を越したって
 会わせろ〜って言ってたから覚悟してくださいね」

「あは、はは。わかりました^^」

だよなあ。
まったく、恋の始まりから俺はこんなに彼女を傷つけて。
それでも好きって言う気持ちで俺の所へやって来てくれた,二度も。

........大切にしたいな。

彼はスープを口に運びながらそう思った。

「ああ、本当においしいです」

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by beckanbecka | 2014-12-18 09:56 | 妄想小説


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