静かな海の様に-38-


「どうしよ......」

トントントン と台所に向かいながら
彼女は落ち着き無く、再び開くであろう玄関の方を気にしていた。
ビールを買いにいったパクさん、それって...

今夜は帰らないからって事なんだよね。
どうしよう、身から出た錆とはいえ、自分の行動がこんな事態を招くなんて。
はあ、そう息を吐きながら鍋を掻き回した。

”パクさんの事、私が幸せにします!”

なんて事を恥ずかしげも無く私は叫んだんだろう!
......やっと,触れられなかったパクさんの心に触れられた。
やっと、心が通い合ったと思う、だけど....

だけど、まだ肉体的にパクさんに溺れたくはない。
身体を重ねてしまったら、自分が冷静でいられなくなる程好きになる
それがわかってるから、まだ....まだ、そのままでいたいのに

「ただ今帰りました」

「あっ....おっ...おか、おかえりなさい」

「あー、美味しそうですね。鍋にはビールですよね♩」

嬉しそうな声が背後から、耳元で聞こえる。
どうしよう、図書館でも,遊園地でも、水族館でも
何度もこんなに間近で声をかけられた事はあるのに

「ビール、飲めます?」

密室に2人っきりだと思うと

「.....................」

コトコトコト

「飲めます?」

グラグラグラ

「...........」

「おーい」

グツグツグツブシューっ

「わわっ!お鍋噴いてます!火!」

「....え?あっ...!わわわっ....!!!!」

慌てて火を止めると、吹きこぼれた汁が少し指にかかった

「あっ」

「大丈夫ですか!??火傷?冷やさないと!」

グイ、と手を握られてパクさんが蛇口を捻る
キンキンに冷えた水が、熱いと思った手を冷やしていく。
ジャー...... もう手が冷たい

「パクさん、もう大丈夫」

「本当に大丈夫ですか?...なにぼーっとしてたの?危ないですよ。」

私の手を握るパクさんの大きな手も、背後から伸びる腕も、背で感じる身体も
まるで.........パクさんに包み込まれている様な感覚がして,ドキドキする。
全身で身を任せても,有り余る程に私より、大きな身体

「ごめんなさい....あ、何か取ってきたんですか?」

後ろを振り返ると、スーパーの袋を持っている右腕の脇に
数冊の本を挟んでいるのが目に入った。
何だろうと思っていると、パクさんがふっと笑った

「ん?これは、ベッドでの朗読用」

「え?」

「ちゃんとドイツの童話持ってきましたからね」

「朗読....してくれるんですか?」

きょとん、と彼女は彼を見つめた。
ビール飲む=そういうつもりですから=エッチ
.................そう思い込んでたのって、私だけなの!?

「はい。だって、ただ寝るだけって寂しいじゃないですか。」

「それは、そう、ですけど」

彼女の狼狽ぶりに、ユチョンはおかしくてふふっと微笑んだ。
昨日の夜に君が言った事、俺はちゃんと尊重するに決まってるだろ。
なのに....自分でまだって言っときながら可愛いな。
だからつい、「余計な一言』がでちゃうんだよ。

「はは、朗読なんて子供の頃以来してもらった事無いから、びっくりしちゃいました」

慌てているのを隠す様に、彼女はお鍋を掴んだ。
リビングのテーブルに置くと,せっせと食器を棚から出しては置く。
もう!私ったら何考えて、どうしよう♡とか考えてたんだか!
パクさんは、パクさんはそんな人じゃないんだから!!何考えてたの!

ユチョンはそんな行ったり来たりする彼女をキョロキョロ右に左に見るばかりだ

クスクス

「んー」

突如、後ろからぎゅっと抱きしめられた

「今は、もっとお互いに知り合いましょう。素のお互いを。
 セックスはそれからでもいい....ですよね。」

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「ん」

ドキドキする
待つって言ってくれているのに、この声に
この香りに、この身体の感触と、体温に。
全て委ねたくなってしまう、危険な男(ひと).....

「さぁさぁ!じゃあ、食べましょう♡お腹ぺこぺこです」

雰囲気を切り替える様に、パクさんの声が弾んだ。

「はい。お待たせしました、たくさん食べてくださいね」

「はい。遠慮なくたくさん頂きます」

「あれ?パクさんまた言葉が丁寧語に戻ってますよ!」

さっそく!と言わんばかりに食べ物を頬張ったパクさんがモゴモゴと口を動かした

「んー....なんか、優しくしたいって思うと、つい出ちゃうんだよね..モグモグ」

「そんなぁ、モグ....ため口で良いって言ったのに...モグ」

2人はお腹がすいていたのか、
話しながらも順調に箸を鍋に運んでいた。

「んーモグ、ほら、タメ口だと,見せたくない素が出ちゃうから(笑)モグ」

「見せたくない素?モグモグ」

なんだろう?
うーん、と彼女は考える

「何ですか?」

彼女はユチョンに聞き返す。

「あ、じゃあ嫌われたくないから,今は内緒です」

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誤摩化す様にユチョンは微笑んだ。
何?そんなに言われると余計に気になるんだけど。

「何ですか?」

「秘密です♡」

「けちー、あ、方言がすごいとか」

「秘密です♡」

「そんなの良いんですよ?私だって方言あるし」

ふふふ、
今夜の食卓は鍋のせいかな,君のせいかな
とっても、暖かい気がするよ。

「何なんですか〜もぉ〜」

「秘密です♡」

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by beckanbecka | 2015-01-07 21:59 | 妄想小説


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