静かな海の様に-83-


「お前からさ」

夜、真っ暗な部屋の一室でジェジュンの声がした

「興味を示した女って、この世にたった1人だよな」

ユチョンは考えていた

「あの子だけだよ、お前がそんなに入れ込んで、告白するなんて」

「..................」

「明日も頑張ろうぜ」

その夜、ユチョンは若かりし頃の夢を見た。
女なんて、別に何もしなくてもよって来てうざったいだけだった頃の夢を。
そして夢は、図書館で目を合わせれば背を向けてしまう彼女の姿にシンクロして、
慌ててユチョンは駆け出していた

「待って!誤解なんだ!俺たちの考え違いだったんだ!!」

追いかけても 追いかけても
彼女は遠のいていく

「わっ」

飛び起きると、まだ部屋の中は暗く  時計を手に取った
まだ日も上らぬ5時。ユチョンは大きく呼吸をすると、立ち上がりバスルームに入った。

シャワーを浴びると手短に用意をして、彼は部屋を出た。
何も考えずに,この街をぶらぶらと見て回りたかった
そうすれば、彼女の考える事が何か見えてくるかもしれないから

「寒いな......」

ただ、冷静さを失っていた頭には少し寒い風が気持ちよかった。

「コーヒーを」

朝から開いているチェーン店のカフェに入ると
ユチョンは熱いコーヒーを啜った
朝刊が届いた様で、ユチョンは一冊手に取るとパラパラと捲り始める

”市営図書館に児童文庫を寄贈”

トピックスは地方ならではの物だった。
図書館か..........
ユチョンはハッと気づくと、カフェの店主に話しかけた

................................................

「全く、どこに行ったかと思ったぜ。メモくらい残してけよな」

「お前がそんなに早く起きるとは思ってなかったんだよ」

ジェジュンは拗ねた様な口調で言うと、ユチョンからコーヒーを受け取った。

「俺,今日はこの街の図書館に行ってみようと思うんだ」

「....なるほどな。でも、そう都合良く彼女が来るか?お前もいないのに。
 むしろ、思い出したく無くて来る気も沸かないと思うけど...」

確かにそうかもしれない。
でも、何かひらめきの様に目に飛び込んだあの記事
それが奇跡を生むのではないか、その希望を捨てられない。

「俺は今日も不動産と、あと個人で家を貸してる所をあたってみる。
ユチョナ...........」

「ん?」

「済まないが、俺がここにいられるのも明日までだ。
おまえも仕事があるだろ?明日いったん帰るか?」

帰って、何度も戻って来られるという距離ではなかった

「いや、図書館には電話して、極力休みをもう少し貰う」

「.......ああ、できるならそうしろ。ごめんな、力になれなくて」

「十分だ、こんだけしてくれただけで。」

ユチョンはジェジュンの肩をポンと叩いた。

.................................................................

ずいぶん寂れた雰囲気だな。

ユチョンは市営図書館を見渡して、そう思った。
利用者もあまりいないし、カウンターの人間は顔もあげず
憩いの場所とはとても言えない雰囲気であった。

中に入ると、棚の分類も偏っていて大雑把
需要があるであろうジャンルの本は品揃えも無く、全てが難しく頁がくすんだ年代物ばかり。
一体この土地に、どれだけの大学教授や研究者がいるんだと言いたくなる。

「ひどいな.......」

ユチョンはカウンターに行くと係員に話しかけた

「あの、ここにはヨーロッパの文学作品は置いてますか」

「イギリス文学なら書架扱いであります。持ち出し禁止ですね」

「貸し出しできる文庫本では?」

「無いと思いますけど....」

司書すらも知らないとはどう言う事だろう

「思いますけどって...検索機はないんですか?ここ」

「知らないですよ!私は貸し出しのバーコード入力するだけのバイトだし!」

「え?司書資格は?」

「そんなもん、ありません!パートだから何の本があるかなんて知らないです!
 読みたい物くらい買いなさいよね?」

酷くきつい訛で中年女性は憤怒してそう言った。
ユチョンは、地方都市の惨状がここまで酷いのかと、驚いた。
こんな状態じゃ、彼女がここに来る訳も無い

「利用者は....あの、都会っぽい若い女性とか来てませんか?最近」

「さあ....利用者がベルを鳴らしたときだけカウンターに出るし...」

それでは、盗難すらし放題ではないか。
確か今日の新聞にも、書物の盗難が相次と書いてあった。
ユチョンは溜め息を吐くと、市の役所へ出向いたのだった

「あぁ....この街には司書もいないし、
 取り壊そうかと思ってる場所だし、今更ねえ」

ユチョンは、彼女との接点でなければいけない図書館の惨状を
見過ごす事はできなかった。

「私は、ソウルの総合図書館で勤めている司書です。
 僕をこの市営図書館に配属させて頂けませんか」

「へ?」

「市民の憩いの場でなければいけない図書館です
 僕に任せて頂けませんか。せっかく寄贈された本も、
市民が寄り付かない図書館じゃ、意味がありません」

「し、しかし.....そんな大都市の役所にうちみたいな
 小さな街の役場が連絡をしたって、取り合ってもらえるか...」

「わかりました、僕が自分で連絡します」

ユチョンはそう言うと、携帯を取り出した。

................................

「お疲れさん、暇だしお昼に行っておいで」

「はい。あの、物件はある程度データ化できたので、
明日中にはフォルダに分類して、見やすくできると思います」

「すまないねえ、年寄りばっかりだから....」

「いいえ、むしろお役に立てて嬉しいです」

「給料もそんなに出してやれないのに....」

彼女は首を振った

「家までお借りして、本当に助かってるんです。
私、一生懸命頑張って、若い客層を呼び込める様頑張りますので!」

「ありがとう」

彼女は微笑むと、いってきますと店を出た。

「ふう....次はこの不動産屋か」

暫くするとジェジュンが携帯を片手に、店の外にやって来た。

「..............昼休みのため不在?そんなの交代で取れよ〜!
でもまあ、見るからに古い不動産屋だし、どうみても1人でやってるっぽいよな....
まあいいや、いないだろ、こんな小さな店.....」

ジェジュンは軽く笑うと、次の店の地図を見ながら、歩き去ってしまった。

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by beckanbecka | 2015-04-12 14:18 | 妄想小説


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