静かな海の様に−90−

「美味しかったです、ごちそうさま」

私たちは、毎日昼ご飯を一緒に食べるようになった。
その度に、友達である女性がパクさんにお弁当を作ってくる、
それを美味しそうに食べる姿が何故か、 苦しかった。

そんなの本当はなぜか分かってる。
パクさんにお弁当を作っていたのは私だったのに…という嫉妬心だ。
そんな事、今の私からは絶対に言えないけど…だって、言ったら許してしまうでしょ?

「へぇーじゃあ、図書館を大改造してるわけね」

「ええ。本が好きな人にもっと、もっと足を運んで欲しいから。
ドイツ文学をすごく好きな人も多いし、 たくさん置いてるんですよ!!」

そう言いながらパクさんは私の方へ満面の笑みを浮かべた。

「こんな田舎にそんな人間多くない気がするけどなぁ〜?」

女性は首をかしげる

「あっでも、パクさんが色々教えてくれるなら、読んでみようかなぁ」

猫撫で声で、 全力でしな垂れ掛からんばかりの甘えぶりだ。
ユチョンは慌てて体をそらしつつ、彼女へ視線を投げかけた。

「ぜひ、休日に読みに来て下さい」

ユチョンは彼女をじっと見つめた。
しかし、彼女はふいっと顔を背けて言った

「私は、 今フランス文学が好きなので」

「えっ…そうなんだ、じゃ、じゃあこれからすぐ揃えるね」

ユチョンの素直な言葉に、 彼女は慌てた。
ちょっと意地悪したくなって言っただけなのに!

「そんなに利用客のリクエストばっかり聞いてたら、赤字ですよ」

「はは、そうですね。あ、扱いの物も貸し出しOKなんですよ」

「あ、そうなんですか?」

興味を示してしまった、と彼女がハッと口を塞いだ。
ユチョンはそんな様子を見て嬉しかったが、
しかしながら控え目に、何も言わず微笑むだけだった。

そして今度の日曜日、友達と一緒に足を運ぶ事にした。

「わぁ、前より活気があるわぁ〜、あ、パクさん!」

彼女は嬉しそうにパクさんに駆け寄っていくと、
カウンターに人が沢山いるのをいい事に、腕を引っ張って中へ入って行った。
嬉しそうに案内をせがんでいる。

勘違いであって欲しかったけど、
彼女はパクさんに片思いをしてるんだと思う。
毎日のお弁当も、今の彼女の嬉しそうな顔も。

私は、二人について行くのもなんだか寂しくて
パクさんがこないだ言っていたドイツ文学のコーナーに行く事にした。
確かに力を入れたんだろう、ずらりと棚の多くの部分をしめていた。

「すごい…」

彼女は驚きつつ、一つ一つアルファベット順に見て行った。
棚の一番上は、新入荷書庫なのか…よく、見えないなあ。
うぅん… 彼女は近くに置いてある台に登って覗き込んだが
見えはするけれど、手は届かない。

「うぅ…もう、これも パクさんの仕業なの!?」

よいしょ、と手を伸ばすけれどなかなか届かない。

「どうした?どの本が良いの?俺取るよ」

その時、ふと背後からパクさんの声がした。

「わっ…」

背中のすぐ後ろで聞くその声、深くて、男らしい低い声。
みんなで昼食を食べてる時とは、全く違う声。
後ろからすっと腕が伸びて、一番上の棚に軽々と触れる。

「パクさん…踏み台もう少し高くしないと、利用者困っちゃ…」

「ここだけだよ。」

「そんなの酷い…!」

振り返ると、間近にパクさんの顔があった。
驚いてたじろぐと、踏み台が不安定に揺れ、バランスを崩す。
その瞬間、パクさんにギュッと背中を抱き寄せられた、

「…酷くない。君がここに来てくれるようにって願って
一所懸命ここまでやってきたんだ、どこにいるかもわからない君が来る事を願って。」

その旨の暖かさが心地よくて、ドキドキして、
ここままずっと、抱きしめていて欲しいと思った。
そっと彼女が目を閉じた瞬間、ユチョンはパッと腕を離した

「で、どの本が読みたい?取ってあげるから」

その笑顔は、友達然とした爽やかなものであった。
友達…私がそれならって承諾したんだもの。
でも、妙にあの時からパクさんは、 私に本当の友達みたいに接してる

もしかして、彼女と毎日接してるうちに、心が揺れ始めてるんじゃ
パクさんは女性にモテるし、私がいなくなっても相手に困る事はないだろう。
じゃあ、パクさん自身が新たな恋をしたとしたら?

私は、去っていく彼を受け入れて忘れられる?

「はい…じゃ、じゃあこれ…」

「これだね、はいどうぞ。困ったらいつでも呼んでね」

「はい…」

「パクさーん!あ、いたいたぁ。あっ…ずるーい、私にも本取って〜」

「良いですよ。。どれです?」

彼女と談笑しながら、パクさんは向こうへ消えていった。
彼女は本を胸に抱きしめながら、息を深く吐き出した。
もしも、私とパクさんが出会った頃のような気持ちを、他の女(ひと)に抱いていたら。

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by beckanbecka | 2015-05-13 10:09 | 妄想小説


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