暗道-Second- 8

「よし、これで準備OKだな」

玄関に荷物を下ろすと、パンパンと彼は手を払った。
明日の出発の準備がようやく終わった,後は明日を待つのみだ。
そう思うと,出発までの準備をしていた時間にすら戻りたくなる

「......あとは出るだけですね」

「そうだな。........あ、しちゃダメな顔してる」

彼は後ろを振り向くと,目を潤ませた妻の顔を覗き込んだ。
いつも通りの落ち着いた笑顔で、今から悲しんでる自分が恥ずかしくなる。
彼女はふっと顔を背けて、リビングに戻ろうとした

「来週俺が帰ってきたら、泣いた事恥ずかしくなっちゃうぞ」

大事じゃないよ,と宥めようとしてくれているのだ。
距離は遠くに行っても,すぐに帰ってくるよって。
でも、それでも、

すぐ傍にいつもあるチーム長の笑顔が,遠くに行ってしまうのは悲しいです

「ひっく」

背中が大きくしゃくり上げる
彼は口をつぐみ,ふっと笑みを浮かべた。
俺だって,このままお前を連れて行きたくてしょうがないさ。

彼は後ろから,ギュム,と彼女を抱きしめた。
すぐに彼女は彼の腕の中で振り返り,しっかりと彼に抱きついた。
まるで小さい女の子をあやす様に,彼は優しく頭を撫でた

「よしよし」

「ひっ....ひっく....」

「連休の時は,遊びにおいで。
 車で迎えにきて,色んな場所に連れて行くから,デートしよう」

「ひっく、ひっく」

「お前と行きたい所,やりたい事,たくさん貯めとくから。
 帰ってきた時にデートの計画立てような」

「ひっく....ヒック....うぅ...」

「週末こっちに帰ってきたら、ずっと一緒にいような」

2人は廊下できつく抱きしめ合った。
そのまま彼の手でベッドに運ばれた後は、互いを飽きる事無く求め合い
ゆっくり、しずかに、時間を惜しむ様に身体を重ね合った

翌日

「おい、見送りに行かなくて良かったのか?」

ソワソワと皆が私のデスクへとやってくる
しかし、得意先から呼ばれている,その準備に彼女は専念した。
ブブブ,携帯電話が震える

”じゃあ行ってくるよ。来週末な”

そう言って添付されていた画像は、来週末の日付の航空券だった。
彼女は嬉しくて,口に手を当てて目を閉じた
遠くなんかない,チーム長にはすぐ会えるんだ

................................................

定刻通り飛行機が着陸する
彼は小さな空港のロビーをでると、キョロキョロと見渡してバスのカウンターへと向かった
ここからまたひと移動。

「明日からこちらに出向される本社のパク・ユチョン室長
 我が社の業務改善や技術支援をしてくださる方だ、皆しっかりと
 指示を仰いで動く様に」

「...なんか、本社のしかも都会の人が来るなんて,嫌よね。
 色々口うるさく首突っ込んできそうだしさぁ。」

「本当、こっちだってこの仕事は経験者だっての。
 都会では好打,本社ではああだ,とか引っ掻き回されたら
 溜まったもんじゃないわよね〜、どうせハゲでタバコ臭い親父でしょ?堅物よぉ」

女子社員が多いオフィスは、地元の倒産企業からの経験者採用が多かった。
それだけに会社の歴史は浅くとも,社員達は顔馴染みが多く,
業務の流れもどことなく,昔から変わりのない物であった。

「はぁ、まったく」

皆の前で話を負えた男は,溜め息を吐いた。
専務という肩書きは彼女達には然程意味のない物らしい
この社の空気が,パク室長の機嫌を損ねなければ良いが。

「やだ、こないだ言ってたイケメン君、新しいドラマに出るってー」

その一声で,彼女達はデスクではなく
休憩スペースへときゃあきゃあと走って行った。

「ここか....お、景色良いな」

彼はやっと新居へと到着すると、
比較的富裕層が住むマンションで,高層とはいかないものの
この地域では一番立派そうな建物であった。

カーテンを開けると,向こうには海が見える
あいつがこっちに遊びに来たら,ビーチに連れて行こう。
夜はこっから夜風を感じて,酒を飲むのも良いな

既にオーダーしていた家具が部屋の中へ運ばれている。
彼は休憩もそこそこに、荷解きをして部屋を作る事にした。
こうやって1人で色々とやるなんて,本当に久しぶりだ。

あの頃は、まだ俺以外に憶える”誰か”なんて居なかった。
ただ気持ちが一致すれば,身体を重ねる位の生活で,俺も何も不満はなかった。
ただ,その時は無性に「寂しい」と感じる瞬間もあったっけ。

「.............」

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今は,心を込めて想えるお前がいる。
今度帰ったらおまえとこれをして、お前がこっちへ来たらあれをして
そんな自分がとても満たされていると感じる。

「さ、やるか!」

パン!と手を叩き,彼は自分を奮い立たせた。


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ユチョン入隊しましたね,頑張ってきてください!
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by beckanbecka | 2015-08-27 16:35


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